賃金台帳と案件管理台帳が、初めて"つながった"話

〜データはあった。ただ、バラバラだっただけ〜

「データはある。でも、使える形になっていない」

そんな状況、思い当たりませんか?

プロジェクト別の人件費が、簡単には見えなかった

必要だったのは、プロジェクト別の人件費を、経営判断に使える形で集計することでした。

データは、2種類ありました。

ひとつは賃金台帳。社員ごとの給与情報が入っています。
もうひとつは案件管理台帳。誰がいつ、どのプロジェクトにアサインされているかがわかります。

この2つが紐づけば、プロジェクト別の人件費が出せる。

でも、そのままでは繋がらない状態でした。

データが"繋がらない"理由が、いくつも重なっていた

まず、賃金台帳は労働基準法で作成・保存が義務づけられている書類。

「法律上、作らなければいけないもの」として管理されていたため、経営資料に使えるデータだとは、誰も思っていませんでした。

しかも、社員ごとに別ファイルで管理されていて、年度によってフォーマットも微妙に違う。

さらに厄介だったのが、年度の起点のズレです。

賃金台帳は4月始まり。でも、決算は別の月。

「社員のファイルを一つひとつ開くだけで、もう半分疲れる……」

そんなタイプの作業でした。

AIに頼んだのは「紐づける仕組みを作ること」

そこで今回は、AIと一緒に仕組みを構築することにしました。

まず、バラバラな賃金台帳ファイルをひとつの一覧表にまとめるマクロ(Excel上で動く自動処理プログラム)を作成。

伝えた内容はシンプルです。

「個人ごとに分かれているファイルを、
DBのように使える一覧表にまとめるマクロを作って。
フォーマットは年度ごとに違うから、それにも対応できるように」

続いて、その一覧表を案件管理台帳と年月・社員IDで紐づける仕組みを作りました。

ばらばらに存在していた2つのデータが、初めてひとつに繋がった瞬間でした。

結果——プロジェクト別の人件費が、初めて見えた

手作業では何時間もかかる想定だった作業が、かなり短縮できました。

そして何より——どのプロジェクトが実は利益を圧迫していたのか、一目でわかるようになりました。

データはずっとそこにあった。ただ、繋がっていなかっただけ。

そう気づいた瞬間でもありました。

成功の分かれ目は「構造を整理してから渡したこと」

振り返ると、うまくいったのはフォーマットと構造を先に整理してからAIに渡したことが大きかったと思います。

AIに伝えたのは、

  • どんなデータが、どこにあるか
  • 何と何を、どう紐づけたいか
  • 最終的にどう使いたいか

この3点が具体的だったから、精度が最初から高かったのだと思います。

「なんとなくこういうことがしたい」という状態のままだと、AIも迷いやすく、やり取りが増えがちです。

構造を言葉にして渡す。それだけで、ずいぶん変わります。

個人情報はダミーデータで

ちなみに今回、賃金台帳には給与など個人情報が含まれていたため、実データはAIに渡していません。

フォーマットだけをダミーデータに置き換えて構造を伝えました。

AI活用では、「便利さ」だけでなく、「情報の扱い方」を意識することも大切だと、改めて感じた場面でした。

「経営には使えない」と思っていたデータが、眠っているかもしれない

「データはあるけど、バラバラで使えていない」
「集計したいけど、繋げる方法がわからない」
「そもそも、何と何を紐づければいいかも整理できていない」

そんな状況でも、データの構造を整理してAIに伝えるだけで、意外と解決の糸口が見つかることがあります。

「経営資料には使えない」と思っていたデータが、整理の仕方を変えるだけで活きてくることも、あるんです。

「うちの業務だと、どこから手をつければいいんだろう?」

そんな段階からでも、お気軽にご相談ください。

「AIに何をどう伝えればいいか分からない」——その翻訳の部分からサポートしています。

社内向けのAI活用・業務改善の出張講座なども対応しています。

この記事を書いた人


林 佳美 / Yoshimi Hayashi

株式会社アウレスト 総務・労務・DX推進担当

法学・システムエンジニアの経験を活かし、中小企業向けの業務改善・DX支援を行っています。
AI活用やExcel改善、業務整理のほか、ホームページ制作・保守運用など、"現場に合う仕組みづくり"を実務目線でサポートしています。

対応領域:・AI活用・Excel業務改善・労務DX・業務整理